9PROJECT、2019年の最初の公演は「出発」です!
2017年に上演したものの再演ですが、まだまだこの作品、観たことがないという方も多いのではないでしょうか?
70〜80年代に、つかこうへい作品をよく見ていた方はご存知だと思うのですが、実はこの「出発」、初期のつかこうへいの代表作の一つというべき作品なのです。
なにせ風間杜夫さんとつかさんの出会いが、まさにこの「出発」の舞台。
劇団「暫」(演出=向島三四郎)でこの「出発」を上演した際、長男の役をやったのが風間杜夫さんでした。風間さんにとっては、これが初のつか作品。そしてこの稽古中にふらっと稽古場に来たつかさんと出会ったのが、最初の出会いだそうです。
「出発」初演は文学座のアトリエ公演。
「熱海殺人事件」も初演は文学座のアトリエ公演ですから、文学座がつかこうへいという作家に注目していたことが伺えます。
その後、1978年1月につかこうへい自身の演出により、俳優座で上演。
その時のキャスティングは、こんな感じでした。
父=田中邦衛
長男=風間杜夫
次男=岩間たか子
母=梅沢昌代
嫁=井上加奈子
熊田=加藤健一
(他に、祖母=平田満など)
そしてこの舞台、実は初日の一週間前に全編をテレビで生中継しています。
本番前に全編を見せてしまうなんて、ちょっと今では信じられないことですが、映像記録のほとんど残っていない初期作品の中で、大変貴重な映像資料になっています。
ちなみにそのテレビ中継、サントリーがスポンサーになっていたのですが、本編中に役者たちがひたすらサントリーのウイスキーを推してきたり、あげくには、舞台上をほったらかしで楽屋に戻る役者をカメラが追いかけ、みんなでウイスキーを飲んでほめまくるという場面があったり…つかさんらしい、遊び心にあふれた舞台中継となっています。笑
さてさて、そんな「出発」ですが、今回上演するのは文学座に書き下ろした初演版。
つまり、つかこうへい演出前の「出発」です。
これを戯曲そのまま上演するという、奇特な劇団はなかなかないと思います。笑
そしていわゆる“つか芝居”とは一味違った、七十年代演劇らしい、不条理と笑いの演劇をぜひ楽しんでいただきたいと思います。